ゲーム『Detroit: Become Human』が大好きだった。
2018年5月25日リリース時に買って何周もプレイした。特にカーラ編、次いでコナー編。マーカス編をあまり周回しなかったのはマーカス編は革命という社会運動がメインとして描かれていたため、人間との協力や絆が見たかった私にとって感情移入が難しかったからだと思う。
AIが日常に溶け込んだ今、ふと「アンドロイドが出てくる映画を改めて見たい」と思い、2025年から少しずつ見るようになった。昔になんとなく見たけど途中離脱したりあまり記憶にない作品もあったため、自分の備忘録も兼ねて記事に残して行こうと思う。
今回は見た中から、人間そっくりのアンドロイドが出てくる大人向けな雰囲気の作品3本を取り上げる。
基本的にはネタバレせずに作品紹介および感想を書いていく。
※記載の配信サイトは時期によって配信終了されている場合があります。
『アンキャニー・不気味の谷』
こんな人におすすめ
- 静かな会話劇でじわじわ来る緊張感が好きな人
- AIと人間の境界を扱う作品が好きな人
- 伏線回収が好きな人
- 登場人物が少ない作品が好きな人
公開年: 2015年
製作国: アメリカ
上映時間: 約85分
監督: マシュー・ルートワイラー
出演:マーク・ウェバー、ルーシー・グリフィス、デヴィッド・クレイトン・ロジャーズ ほか
配信サイト:Amazon Prime Video(見放題配信中)/ U-NEXT
【あらすじ】
科学技術を専門に扱う記者のジョイは、世界初とされる人間型AIの取材のため山奥の秘密研究施設を訪れる。彼女を迎えたのはAIを開発した研究者デヴィッドと、人間と変わらない姿をしたアンドロイドのアダム。取材を進めるうちにジョイはアダムの何気ない仕草や言葉の端々に違和感を覚え始める。それは「AIの不完全さ」なのか、それとも別の何かなのか。
【感想】
作品サムネイルやタイトルロゴからターミネーターのようなSF映画をイメージしていた。でも実際に観てみると、そのイメージとは違う、静かで落ち着いた雰囲気の作品だった。ド派手な展開があるわけでもなく、ほぼずっと室内で登場人物達の会話が淡々と続いていく。
直前に派手なアンドロイド作品を見ていた影響もあり、正直言うと静かな会話劇に途中で飽きそうになった。しかしこの作品はぼんやり気を抜いて見すぎると、シーンを巻き戻すはめになるかもしれない。何でもないようなシーンでも、役者の細かい表情・仕草・台詞にちゃんと意味がある。
あと単純に驚いたのが、これが2015年の作品だということ。AI関連の描写が10年以上経った今観ても違和感がなく感じる(素人目線です)。
見終わったあとに、この作品のタイトル『Uncanny』の意味がジワリと来る作品だった。
『エクス・マキナ』
こんな人におすすめ
- 機械の質感が残った女性アンドロイドの造形美に惹かれる人
- 静かな緊張感のある会話劇が好きな人
- 登場人物が少ない作品が好きな人
- 映像美が好きな人
公開年: 2014年(日本公開:2016年)
製作国: イギリス
上映時間: 約108分
監督・脚本: アレックス・ガーランド
出演: アリシア・ヴィキャンデル、ドーナル・グリーソン、オスカー・アイザック ほか
配信サイト: Amazon Prime Video/ U-NEXT ほか
【あらすじ】
大手IT企業でプログラマーとして働くケイレブは、社内の抽選に当選し、普段は滅多に姿を現さない天才CEOであるネイサンの山奥の邸宅へ招待される。そこでケイレブに与えられた仕事は、ネイサンが極秘に開発した人工知能搭載女性型ロボット”エヴァ”と会話をし、彼女が本当の知性を持っているか・人間的であるかを確認すること(チューリングテスト)だった。
外部から隔離された施設でエヴァとの面談を重ねるうちに、単なるプログラムとは思えない感情の機微を感じ取っていく。ケイレブは彼女の言葉だけでなく、ネイサンの目的にも疑問を抱き始める。
【感想】
この作品はアンドロイドを扱った映画の中でも既にかなり有名だろうと思う。実は私も昔はそこまで興味を持てなかった作品であり、途中で見るのをやめた記憶がある。AIが身近な存在になった今だからこそ、改めてちゃんと観てみようと思ったのがきっかけ。
正直に言うと、これまた静かな流れで私にはしばらく退屈だった。それでも見るのを止めるまで至らなかったのは、純粋に映像がずっと綺麗だったから。山奥の邸宅の無機質な美しさや、自然。実験施設。そして何より、エヴァの姿。人形のような顔パーツに、透明なパーツと機械とメッシュ素材の造形が絶妙な美しさだと思う。女性アンドロイドが出てくる映画作品は今後も記事で扱って行くが、人工皮膚(という設定だが要するに役者の顔)と剥き出しの機械のバランスが美しいアンドロイドは他になかなか出てこないと感じる。
と、造形と景色ばかり見ていた私だが、終盤の展開には食い入るように見ていた。そして観終わった後、何とも言えない気持ちになるタイプの映画だった。最後まで、映画のトーンは静かなままだった。
『エクス・マキナ』の意味も調べてみると「へーぇ!」となるので、興味があったら調べてみて欲しい。
ちなみに、主人公ケイレブ役のドーナル・グリーソンは、SFドラマ『ブラック・ミラー』のあるエピソードでAI役を演じているのが面白い。ブラック・ミラーの作品については、また他の記事で取り上げる予定だ。
『A.I. ライジング』
こんな人におすすめ
- セクシー系のアンドロイドが登場する大人向けのSFが観たい人
- 宇宙船という密室での心理描写を追いたい人
- AIとの対話や調整に興味がある人
- 登場人物が少ない作品が好きな人
公開年: 2018年
製作国: セルビア
上映時間: 約86分
監督: ラザル・ボドローザ
出演: セバスチャン・カヴァーツァ、ストーヤ、ほか
配信サイト: Amazon Prime Video/ U-NEXT ほか
※ 公式予告編は、アットエンタテインメント公式YouTubeチャンネルで公開されています。(※大人の鑑賞向け映画のため一部露出シーンが含まれます)
【あらすじ】
国家という概念が消えた2148年、宇宙飛行士のミルーティンは長期の探査任務のため、彼の好みに合わせて作られた女性型アンドロイド”ニマーニ”と共に宇宙へ旅立つ(作中ではサイボーグと呼ばれている)。彼女は船内の管理だけでなく、ミルーティンの精神面や身体面を支えるパートナーとして用意された存在だった。最初はニマーニを便利な道具のように扱っていたミルーティンだが、孤独な宇宙生活の中で二人きりで過ごすうち従順に設計された彼女との関係に物足りなさを感じ始める。ミルーティンは次第にニマーニを「人間の女性」として扱いたいという想いを募らせてい行き、ニマーニが自分の意思で行動できるようプログラムに手を加えようとする。
【感想】
マイナーと見られるこの作品を取り上げるのは少々迷ったが、人工知能と簡単に対話できる今だからこそ取り上げた。
ストーリー内容に関しては、ミルーティンがニマーニを「理想の女性」に近づけようとする過程は男性側の願望が色濃く出ている展開で、女性の私としては共感しきれないシーンもあった。ただ、ミルーティンがニマーニを都合よく変えようとしている所がとても人間くさくてリアルだと感じた。官能的な要素ばかりが注目されがちな映画だが、人間がアンドロイドに何を求め、何を支配しようとするのかを描いた作品としてはなかなか濃い一本だったと思う。
そして視聴後の感覚は、思ったより切なかった。アンドロイドやAI映画を探している人に一番におすすめできる作品とは言い難いが、機会があれば見て欲しい。
配信サイトの作品紹介では、ニマーニ役の俳優が成人向け作品の女優であることが書かれていて、それだけ見ると「そういう系の映画か」という印象を持たれてしまうかもしれない。私はU-NEXTでアンドロイド映画を漁りまくっていた流れでこの映画を見始め、途中で役者を調べて知って驚いた口だった。女優だけでなく様々な活動をしている多才な人物だということを知った。だからこそ思うが、イメージありきでこの作品を見るのはもったいない。彼女のアンドロイドとしての演技、大人っぽさと少女っぽさが入り混じる表情や仕草の一つ一つの所作がキュートでありセクシーであり、ニマーニという役にピッタリであると感じた。ぎこちなくダンスするシーンはとても印象的だ。
それよりも私が気になったのは、アート映画っぽさだ。カメラはよく揺れ、光の点滅シーンや宇宙の景色が流れる場面もだいぶ多い。上映時間は86分と短めなのに体感では長く感じた。ただ、「宇宙船で人間とアンドロイドが二人きり。渋いオジサマと美女アンドロイドのSFロマンス」という設定が刺さる人には刺さりそうだ。
今回紹介した3作は、派手なアクションもなければ目まぐるしい展開もない。限られた人数の会話だけで、じわじわと緊張感を積み上げていくタイプの作品をあえて取り上げてみた。次回はまた違う切り口の作品を取り上げてみようと思う。
